米国で上場しているETFは本来ドルでしか買えませんが、いくつかは円で買えるものがあります。
現在(2024/10/1時点)分配金が受け取れて、かつ円で買える米国高配当株ETFはSPYDとVYM、HDV、SCHDの4つです。
円で買えるからドルに両替する手間も手数料もかからず、2重課税調整がされているので確定申告のときに外国税額控除の申請がいらないメリットがあります。
それぞれのETFを最初に一言でまとめますと、
SPYD
⇒買ってすぐに4%を超える高い分配金利回りが欲しい人向け
VYM
⇒分散効果を利かせつつ、分配金収入と株価成長によるリターンのバランスを取りたい人向け
HDV
⇒分配金収入をもらいつつ、財務健全性が高い企業に投資したい人向け
SCHD
⇒高い分配金利回りと株価成長によるトータルリターンが欲しい人向け
この記事では4つの米国高配当株ETFに連動する投資信託または東証ETFの紹介、各ETFのパフォーマンスを比較します。
円で投資できる4つの米国高配当株ETFに連動する投資信託とETF
SPYD(SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF)
名称:SBI・SPDR・S&P500高配当株式インデックス・F(年4回決算型)
種別:投資信託
設定日:2024/10/03
信託報酬(税込み)/年:0.1338%程度
販売会社:SBI証券のみ
SPYDはS&P500高配当指数に連動したETFで、S&P 500指数の中で配当利回りの高い80銘柄に投資します。
特徴として:
- 4つのETFのなかで、一番高い分配金利回り(4%以上)
- 金融、エネルギー、不動産などの高配当セクターへの投資比率が高い
- 価格変動リスクが比較的高い
景気敏感株のセクターへの投資比率が高いので分配金利回りが高い分、特に暴落時の価格変動リスクが高い銘柄です。
SBI証券が設定している投資信託なので、SBI証券でのみ買うことができます。
VYM(バンガード・ハイディビデンド・イールドETF)
名称:SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド(年4回決算型)
種別:投資信託
設定日:2024/10/02
信託報酬(税込み)/年:0.1238%程度
販売会社:SBI証券のみ
VYMは指数FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動したETFで、米国の500社を超える高配当株式に投資します。
特徴として:
- 4つのETFのなかで一番組入れ銘柄が多く、大型株を中心に幅広いセクターに分散投資が効いている
- 4つのETFのなかでは一番分配金利回りが低い(3%前後)
VYMは安定性と成長のバランスを取りつつ、定期的な配当収入を求める投資家に適しています。
SBI証券が設定している投資信託なので、SBI証券でのみ買うことができます。
HDV(iシェアーズ・コア高配当株ETF)
名称:iシェアーズ 米国高配当株 ETF【2013】
種別:ETF
設定日:2024年1月17日
信託報酬(税込み)/年:0.121%程度
販売会社:全証券会社
HDVはモーニングスター配当フォーカス指数に連動したETFで、米国の財務優良企業のうち、配当利回り上位75銘柄に投資します。
特徴として:
- 高品質で財務的に健全な企業ばかりで安定感がある
- 他ETFよりも金融セクターの割合が低く、エネルギーとヘルスケア、生活必需品セクターの割合が高い
HDVは安定した分配金収入を求めつつ、リスクを抑えたい投資家に適しています。
東京証券取引所に上場しているETFなので、どの証券会社でも買うことができます。
SCHD(シュワブ・米国配当株式ETF)
名称:楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
種別:投資信託
設定日:2024年9月27日
信託報酬(税込み)/年:0.192%程度
販売会社:楽天証券のみ
SCHDはダウ・ジョーンズ・USディビデンド100インデックスに連動したETFで、米国の配当利回りの高く、かつ10年以上連続で配当金が支払われている100銘柄に投資します。
特徴として:
- 4つのETFのなかで2番目に配当利回りが高く、株価成長も期待できる
- 財務健全性と持続的な配当成長を重視した銘柄選定
SCHDは、高い分配金利回りと中・長期的な株価成長の両方を求める投資家に適しています。
楽天証券が設定している投資信託なので、楽天証券でのみ買うことができるかつ、円建てドル建てに限らず現状唯一SCHDに投資できる商品です。
4つのETFの過去5年間のパフォーマンスを比較
SPYDとVYM、HDV、SCHDはどれも高い分配金利回りが魅力的な米国高配当株ETFですが、それぞれパフォーマンスにどのような差があるのか、2019年~2023年の過去5年間のデータから4つの項目にわけて比較していきます。
- 分配金利回り
- 騰落率とトータルリターン
- 増配率
- 最大下落率
分配金利回り
高配当株ETFに投資するからには、高い分配金利回りは投資するうえで絶対条件です。
4つのETFを順位付けするとこうなります。
分配金利回り(24年10月時点)
1位 SPYD:4.08%
2位 SCHD:3.48%
3位 HDV:3.39%
4位 VYM:2.84%
SPYDが他を大きく上回る利回りを示しています。
一方、VYMの配当利回りは3%を下回っており、高配当株ETFとしては物足りない印象です。
分配金利回りだけを見ればSPYDへの投資が最適に思えますが、株価成長と増配率も重要な要素です。
これらの点については、次に詳しく比較していきます。
騰落率とトータルリターン(2019年~2023年の過去5年間)
騰落率は投資対象の価格変動率を示し、トータルリターンは配当を含む総合的な投資成果を表します。
下の表は2019年~2023年の過去5年間の騰落率とトータルリターンを順位付けしたものです。
分配金利回りの順位とは結果が異なり、最高利回りのSPYDが最下位、最低だったVYMが2位となっています。
分配金利回り2位だったSCHDは、騰落率とトータルリターンの両方で突出した成績を示しています。
チャートで騰落率とトータルリターンを比べると、SPYDはほとんど株価成長がなく、分配金を加えてようやく3位のHDVのトータルリターンに追いつく程度です。
SCHDとVYMは分配金を受け取りながら、同時に高い株価成長の恩恵が受けられています。
増配率(2019年~2023年の過去5年間)
配当金は企業の業績向上によって増加する「増配」があります。
増配の利点は、投資家が追加の投資をしなくても、保有している株式からより多くの配当収入を得られるようになることです。
ETFに組み入れられている銘柄で増配企業が多ければ、受け取る分配金も年々増加していきます。
下の表は2019年~2023年の過去5年間の分配金($)と増配率をまとめた表です。
トータルリターンで1位だったSCHDが増配率でも1位で、配当利回り最高のSPYDの増配率は最低となっています。
最大下落率(2019年~2023年の過去5年間)
最後に最大下落率を見ていきます。
過去どれだけ下げたかを知っておくことで、下落相場での心構えができます。
最大下落率(2019年~2023年の過去5年間)
1位 SCHD:-34.81%(20年1月~3月)
2位 VYM:-36.68%(20年1月~3月)
3位 HDV:-38.02%(20年1月~3月)
4位 SPYD:-48.00%(20年1月~3月)
過去5年間で最大の下落を記録したのは、全てのETFにおいて2020年のコロナショックの時期でした。
上位3つのETFの下落率には大きな差はありませんでしたが、SPYD(チャートの青)の下落は他と比べて際立っています。
SPYDは-48.00%と最も大きく下落し、他のETFに比べて市場の急激な変動に対して脆弱性を示しました。
まとめ:4つのETFの過去データから見る特徴と傾向
これまでのデータから4つのETFについて簡単にまとめました。
SPYD
〇4つのETF中で最高の分配金利回り
〇逆に増配率、株価成長率は最低
⇒買ってすぐに高い分配金利回りが欲しい人向け。
VYM
〇4つのETF中で最低の分配金利回り
〇逆に増配率、株価成長率は良好でトータルリターンは2位
〇構成銘柄が多く(500銘柄以上)一番分散が効いている
⇒分散効果を利かせつつ、分配金収入と株価成長によるリターンのバランスを取りたい人向け。
HDV
〇SPYDとVYMの中間の分配利回り
〇過去5年(2019年~2023年)のトータルリターンはSPYDとほぼ並ぶ
〇構成銘柄の財務健全性が高い
⇒分配金収入をもらいつつ、財務健全性が高い企業に投資したい人向け。
SCHD
〇4つのETFなかで最高のトータルリターン
〇増配率も高く、今後の分配金利回りの成長も期待できる
〇現状円、ドルに限らずSCHDに投資する手段が楽天証券のみ
⇒4つのなかで一番好成績。高い分配金収入と株価成長によるトータルリターンが欲しい人向け。
しかし、楽天証券の口座を持っていないと投資できない点だけ難点。
それぞれに特徴がありますが、自分の投資目的に合うものに投資してきましょう。
当ブログでは円で買える米国連続増配株ETFについても調べましたが、
どちらも調べて最終的に、DGRO(iシェアーズ・コア配当グロースETF)に投資できるiシェアーズ 米国連続増配株 ETF【2014】に投資することを決めました。
投資の成果については、ブログで書いていきます。
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