「SBI・SCHDから初めての分配金が出たけど、思ったより少なくてガッカリ…」
こんな声がネットでも多く聞かれました。
米国高配当株ETF【SCHD】を投資対象とする「SBI・SCHD」。初回分配金の水準や、その背景を気にしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SBI・SCHDの初回分配金が少なかった理由や、今後の見通しについて解説します。
初回分配金は62円 分配金利回りは2.72%
SBI・SCHDの初回分配金は62円でした。
仮にこの水準の分配金が年4回支払われた場合、単純計算で分配金利回りは約2.72%となります。
- 62円 × 4回 = 248円
- 248円 ÷ 9,102円(初回分配金落ち前の基準価額)= 約2.72%
本家SCHDと同程度だとすると、分配金利回り3.5%、少なくとも3%以上を期待していたと思います。そのため、今回の結果に落胆した方も少なくないでしょう。
しかし、必要以上に悲観する必要はありません。
なぜ初回分配金が少なくなったのか、理由を解説します。
初回分配金が少なかった理由
- SCHDは3月の分配金が少ない傾向にある
- SCHDの分配金支払いからSBI・SCHDの分配金支払いまでの間に円高が進んだ
SCHDは3月の分配金が少ない傾向
SBI・SCHDの初回分配金は、本家SCHDが3月に支払った分配金を基にしています。
これはSBI証券が公開したお知らせで明言されていました。
SCHDは毎年3月・6月・9月・12月の年4回分配金を支払っていますが、過去の実績を振り返ると、3月の分配金が最も少ない傾向が続いています。
年 | 3月 | 6月 | 9月 | 12月 |
---|---|---|---|---|
2022 | $0.1725 | $0.2346 | $0.2122 | $0.2344 |
2023 | $0.1988 | $0.2215 | $0.2181 | $0.2474 |
2024 | $0.2036 | $0.2747 | $0.2515 | $0.2488 |
2025 | $0.2488 | – | – | – |
このように、ほぼ毎年3月の分配金が最も少ない状況です。
実際、SCHDの上場以来(2011年12月)すべての分配金履歴を確認しましたが、例外は2016年のみで、それ以外はすべて3月が一番少なくなっています。
つまり今回の初回分配金62円は、年間でも最も少ない時期の分配金を基にしているため、これを単純に4倍して年率換算すると、実態よりも低い数値になってしまうのです。
円高の影響
今回の分配金の基となるSCHD(3月期)のドル円レートは、決算日(3月26日)の終値で149.950円でした。
一方、SBI・SCHDの初回分配金の決算日は6月19日で、ドル円レートの終値は145.447円。
つまりSCHD(3月期)の分配金支払いから、実際にSBI・SCHDで分配金が支払われる約3か月で4.5円(約3.0%)の円高が進んだことになります。
円高になると、ドル建ての資産を円に換算したときの受取額が少なくなります。
たとえば、SCHDの3月期分配金$0.2488を円換算すると、
- 3月決算時(149.950円):$0.2488 × 149.950円 = 37.31円
- 6月決算時(145.447円):$0.2488 × 145.447円 = 36.19円
このように、同じドル分配金でも円高になると受け取れる円の額が目減りします。
今回の分配金額が抑えられた要因のひとつが、こうした為替の影響です。
まとめ:初回分配金だけで判断しない
SBI・SCHDの初回分配金は想定より低く、物足りなさを感じた方も多いかもしれません。
しかし、今回の分配金は「本家SCHDの3月期分配金がもともと少ない傾向にある」「円高の影響で円建ての受取額が減った」、などの要因が重なった結果であることを押さえておきましょう。
初回の数字だけで失望するのではなく、今後の分配金推移をしっかりと見守ることが重要です。
次回以降は、SCHD本体の分配金が増えやすい時期が反映され、より実態に近い利回りが見えてくるはずです。
SBI・SCHDはまだ運用を始めたばかり。
短期的な数値のみにとらわれず、中長期で資産形成を目指す姿勢が大切です。
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