「高配当株投資を始めたいけど、個別株を選ぶのって大変そう…」
そんな不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
実際、個別株投資には想像以上の時間と労力がかかります。
さらに、どれだけ手間をかけたとしても、市場平均を上回れるとは限りません。
この記事では、個別株投資に必要な作業内容とその手間を具体的に紹介し、高配当株ETFや分配型投資信託でも十分に高いパフォーマンスが期待できるという事例をご紹介します。
個別株はおもしろい、でも手間がかかる
当ブログでは現在、ETFや投資信託以外に22銘柄の個別株を保有しています。
実際に投資してみて強く感じたのは、「個別株投資はおもしろい反面、とても手間がかかる」ということです。
たしかに、分析して買った銘柄が値上がりしたときの達成感は大きく、自分の判断が市場に通用したという喜びもあります。
配当金だけでなく、株主優待も魅力的です。
しかし、銘柄数が増えると、それに比例して必要な分析や管理の作業時間も増えていきます。これは“比例”ではなく“指数関数的”に増加します。
1銘柄にかかる作業時間と年間目安
個別株投資は「買って終わり」ではありません。
購入前の調査から、保有後の決算チェック、売却判断まで継続的な管理が求められます。
【1】銘柄購入前の準備
- 情報収集・業界分析
- 財務分析
- 企業価値評価(割安か、割高か)
- 将来性の評価
【2】保有中の作業
- 決算チェック(四半期ごと)
- ニュース・IRの確認
- 買い増し、または売却の判断
- ポートフォリオ全体のバランス調整
保有銘柄数と作業負担の関係(年間目安)
購入前の企業分析に約1時間、四半期ごとの決算チェックに各30分と仮定すると、1銘柄あたり年間で最低3時間は必要です。
保有銘柄数 | 管理負担の目安 | 年間作業時間(目安)※1銘柄=3時間 | 備考 |
---|---|---|---|
1〜5銘柄 | 低 | 約3〜15時間 | 平日夜や週末でカバー可能。 趣味としても続けやすい。 |
6〜15銘柄 | 中 | 約18〜45時間 | 月2〜4時間のペース。 情報整理力が求められる。 |
16〜20銘柄 | 高 | 約48〜60時間 | 週1〜2時間が継続的に必要。 仕事との両立が課題に。 |
21銘柄以上 | 非常に高 | 約63時間〜 | 専業投資家レベル。 見落としや判断遅れが出やすい。 |
このほか、日々のニュースや決算速報への対応、急な環境変化に伴う再分析といった作業も発生します。
投資を決めた銘柄だけでなく、分析までで投資しなかった銘柄も入れると、実際の作業時間はもっと多いでしょう。
銘柄数が少ないうちは、夜や週末に対応できるレベルですが、分散のために数を増やすと負担は一気に膨らみます。
重大な見落としがあれば、大きな損失につながることもあります。
SNSで見かける高配当株投資家の保有銘柄は間違いなく20銘柄以上保有していますが、それらを分析し管理できている投資家は、すでに投資そのものが趣味という方でしょう。
一方で、資産形成を目的として投資を行う人にとっては、過剰な時間コストはストレスでしかありません。
さらに、時間をかけた分だけ、それに見合うリターンがあるとは限らないのが投資です。
時間をかけても市場平均に勝てるとは限らない
多くの研究で、アクティブ運用の大半がインデックス(市場平均)に勝てていないことが示されています。
たとえば、S&Pダウ・ジョーンズ社の「SPIVAレポート」では、「長期で見ると、米国大型株アクティブファンドの約9割がS&P500に劣後」というデータが報告されています。
インデックス投資の名著『敗者のゲーム』でも、
1年以上の成績を見ると、約7割の投資信託が市場平均を下回る。
10年では8割、15年では9割が市場に負けている。
引用:敗者のゲーム p15
と紹介されています。
高配当株投資でも同じです。
どれだけ銘柄を精査しても、すでに世に出ている高配当株ETFや分配型投資信託のパフォーマンスを上回るとは限りません。
一生懸命作った自慢のポートフォリオが、市場平均に負けてしまっては、労力が報われない結果にもなり得ます。
それなら高配当株投資においても、インデックス投資と同じように特定の指数に連動する「高配当株ETF」や「分配型投資信託」を活用して、もっと効率よく月々のキャッシュフローを増やすという考え方も十分に合理的です。
高配当株ETFでも市場平均に勝てる可能性がある
代表的な日本高配当株ETFのひとつが、【1489】NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信です。
2020年のコロナショック後から2025年5月末時点までの価格チャートを見ると、

- 1489(価格ベース):+97.56%
- S&P500(SPX):+82.46%
- 日経平均:+58.68%
と、1489はS&P500や日経平均を上回る成績を記録しています。
さらに、分配金を加味すれば、その差はより明確になるでしょう。
ETF | 直近5年の分配金利回り |
---|---|
1489(NF日経高配当50) | 4.54% |
VOO(S&P500) | 1.62% |
1321(日経平均) | 1.69% |
これらの数字からも、高配当ETFを活用した投資戦略が十分に魅力的であることがわかります。
ETFや分配型投資信託なら、これ一つで複数銘柄とセクター(業種)に投資できます。
基準から外れた銘柄は自動で外されリバランスされますから、管理の手間もありません。
代わりに運用会社に支払うコスト(信託報酬)がありますが、これを差し引いても「手間なく簡単に投資をしたい」という点に重きを置くなら、コスト分の価値はあると考えます。
まとめ:時間と成果のバランスを見極めよう
- 個別株投資には1銘柄あたり年間3時間以上の作業が発生
- 銘柄数が増えると指数関数的に作業量が増加
- 手間をかけても、市場平均に勝てるとは限らない
だからこそ、月々のキャッシュフローを増やす目的であっても、ETFや分配型投資信託といった省力化された投資手段に目を向ける価値があります。
高配当のメインをETFや分配型投資信託にし、個別株投資は本当に投資したい銘柄や、株主優待が欲しい銘柄だけに集中することもできます。
手間をかけずに高配当株投資をするなら、ETFや投資信託の活用をぜひ検討してみてください。
当ブログでは、実際に1489や1494といった日本高配当株ETFに投資しています。
- 分配金利回り3%超えのETFまとめ
- 高配当ETFのおすすめ組み合わせ
なども記事にしています。ぜひあわせて読んでみてください。


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