2025年4月、いわゆる“トランプショック”により、米国株と米国債が同時に下落する異例の状況が続いています。
通常、「株が下がれば債券が上がる」というセオリーがあるものの、今回はその関係性が崩れました。
当ブログでも保有している東証版TLT【2255】(米国長期国債ETF)も例外ではなく、保有している株よりも大きい含み損となっています。
この記事では2255に投資した理由と、売却か保有かの判断、そして今後の方針を投資記録として整理しました。
TLTと東証版TLT【2255】とは?
TLT(正式名称:iシェアーズ 米国国債 20年超 ETF)とは、満期まで20年を超える米国債で構成される指数(US Treasury 20+ Year Index)に連動する成果を目指した米国ETFです。
2255は、そのTLTが東京証券取引所に上場したもので、国内ETFなので円で売買することができます。
東証版TLT【2255】に投資した理由
当ブログが東証版TLT【2255】に投資した理由は3つです。
- 債券相場全体が歴史的安値であり、今後の値上がりが期待できる
- 定期的な配当金(インカムゲイン)が入る
- 株式のリスクヘッジ(暴落対策)になる
さらに詳しい投資理由は投資開始当初の別記事で話しています。
特に理由3「株式のリスクヘッジ(暴落対策)になる」が一番大きな理由として、2255に投資していました。
これまでの金融市場では、株価が下落する局面で債券価格が上昇する傾向がありました。
いわゆる「逆相関関係」です。
この関係性を利用し、株が下落したときに値上がりした債券を売却し、安くなった株を買い増すという戦略をとるために、米国超長期国債に連動するETF【2252】をNISAで購入していました。
実際、2020年のコロナショックではそのような動きが見られました。

しかし、現在はコロナショックのときとは状況が異なり、米株式と一緒に米国債の価格も下落しています。

米国債が価格下落している理由
通常は「株が下がると債券が上がる」という逆相関の関係が成り立ちますが、今回のように国そのものへの信用が傾くと、その国の株式や債券も同時に売られ、これまでのセオリーが通用しないようです。
現在、米国株の下落と一緒に、米国債も同じように下落しています。
【トランプ大統領が相互関税を発表した25/4/2~現在までの最大下落幅】
- S&P500:-15.10%
- TLT:-9.66%
米国債の価格が下落している理由は2つです。
① 関税でインフレが再燃? ⇒ 長期金利の上昇で米国債が売られる
トランプ大統領は、4月11日時点で対中国輸入品への計145%の関税を掲げています。
この関税政策により、輸入物価の上昇 → インフレ懸念が再び高まり、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げに踏み切れず、金利が高止まりする予想されています。
トランプ関税(145%)導入
↓
輸入物価の上昇 → インフレ懸念
↓
FRBが利下げできず金利高止まり、またはインフレ抑制のため金利上げ
↓
債券価格下落
債券は金利が上がると価格が下がるため、金利上昇局面では長期債が特に大きなダメージを受けます。
2255に投資した時点では近い将来にFRBの利下げにより、歴史的安値になっている債券の価格が上昇すると予想していましたが、完全に狙いが外れてしまいました。
② 米国債の「安全資産」としての信頼が揺らぐ
これまで株式市場が不安定なときには、「米国債」が資金の逃避先として買われてきました。
しかし今回は違います。
- トランプ大統領の保護主義政策が米国の財政や外交不安を招く
- インフレが長期化すれば、債券の実質利回りがマイナスになる懸念も
こうした理由から、“安全資産としての米国債”が敬遠されているのです。
中国が関税への報復として米国債売却を検討しているといったニュースもあります。
実際に売却したかどうかは別として、こんなニュースが出てきている時点で、安全資産とは到底言えない状況です。
ボク自身も米国債は金利が高止まりしている現状、これ以上の下げ幅は小さい安全資産として米国債に投資していましたが、見直す必要があります。
東証版TLT【2255】を保有するか、損切りするかのメリットとデメリット
東証版TLT【2255】をこのまま保有するか、あるいは損切りするかのメリットとデメリットを比較します。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
保有を続ける | ○含み損を確定せず、金利低下による価格回復を待てる ○保有中も年利3%前後の分配金を得られる 価格回復時にインカム+キャピタルゲインが期待できる | ●金利がさらに上昇すれば価格下落リスクが続く ●資金がロックされ、株式の買い場を逃す可能性 ●株式に比べてリターンが低い可能性 |
損切りする | ○資金を現金化し、下落中の株を買う「攻めのリバランス」が可能 | ●損失が確定してしまう ●新NISA成長投資枠のため、損益通算ができない |
メリットとデメリットを比較して、様子見の保有を続けるを選びました。
東証版TLT【2255】の保有を続ける理由
結論として、ボクは東証版TLT【2255】の保有を選びました。
理由は以下のとおりです
- NISA口座のために損益通算ができないから、保有を続けて金利収入(インカムゲイン)を受け取りながら債券価格の回復を待つ。
- トランプショックによる株価下落が一旦落ち着き、急いで現金を用意する必要がなくなった。
正直、この記事を書く直前まで2255は売って、安値になった株を買うつもりでいました。
株と債券のリターン(値上がり益)を比較したときの差が大きいからです。
下のチャートはS&P500と日経平均株価、TLTで分配金を入れたトータルリターンで比較したチャートです。

定期的な分配金を入れても、国債であるTLTのパフォーマンスは株式に大きく劣ります。
例え、2255を売却して損を確定させても、売却してできた資金で値の下がった株式を買えば損失は取り返せると考えていました。
しかし、ブログ投稿時点での株式相場は、トランプショックからの乱高下からとりあえず落ち着きを見せています。
株価が下がらないなら、現状は急いで株の購入資金を用意する必要がなくなったと判断しました。
とりあえずは様子見をしますが、この先また株価の下落局面が来れば、債券がどういう状況であれ、2255は売って株式の購入資金にするつもりです。
まとめ:株式と債券両方で不安定な相場が続く
今後も金利の動向や、トランプ大統領の政策発言によって、株式と米国債市場は不安定な局面が続く可能性があります。
株と債券の動きが読みにくいいま、個人投資家は自分の目的と状況に応じた判断が求められます。
今回、ボク自身は国債ETFを売らずに様子見の保有を選びましたが、「下落局面をチャンスと見て損切りする」のも正解ですし、「リスクヘッジとして保有を続ける」のもまた戦略です。
大切なのは、納得できる理由を持って判断することです。
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